WORKSIGHT18号 われらゾンビ

WORKSIGHT18号 われらゾンビ

販売価格: 1,980円(税込)

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文具メーカー・コクヨが掲げる「自律協働社会」というありたい社会像を手がかりに、これからの社会を考える上で重要な指針となりうるテーマやキーワードを拾いあげ、探究していく『WORKSIGHT』の18号が入荷しました。


ゾンビはわたしたち
ゾンビは、その発祥から資本主義と深く関わってきた。カリブ海のプランテーションから、消費資本主義、グローバル資本主義、金融資本主義と、資本主義が進化するに連れてゾンビも進化する。そのとき、ゾンビは、単なる比喩を超えて、わたしたちそのものの姿となる。ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロから、『新感染 ファイナル・エクスプレス』『今、私たちの学校は...』など、世界を席巻する「韓国ゾンビ」まで。ゾンビを知ることは、わたしたち自身を知ることなのだ。

【目次】
◎巻頭言:ゾンビのすゝめ
ゾンビは私たちに何を語りかけるのか?
5冊の書籍をガイドに、現代社会とゾンビの接続点をさぐる。
文=山下正太郎(WORKSIGHT編集長)

◎ゾンビ宣言
高度資本主義の時代における非人間の状態
サラ・ジュリエット・ラウロとカレン・エンブリーが2008年に発表したのが本稿、その名も「ゾンビ宣言」。 ハイチ発祥のゾンビの原型から、映画のゾンビ、そして未知なる 存在的/憑在的ゾンビへ。熱気のこもった哲学的論考を読めば、きっと目を剥くことだろう。
文=サラ・ジュリエット・ラウロ/カレン・エンブリー
翻訳=遠藤徹

◎ゾンビの学校
ゾンビの学校で現代社会を学ぼう! 講師は名著『ゾンビと資本主義』の遠藤徹先生。
7つのキーワードをもとに ゾンビ映画から読みとく現代社会。 その絶望と、わたしたちの希望。
文=遠藤徹

◎ゾンビの世界史
コロンブスのハイチ到着からゾンビの物語は始まる。ハイチのヴードゥーの習俗から派生したゾンビは、書物、映画、漫画、ゲーム を通じて、世界の人びとの想像力を駆り立ててきた。年譜でたどる、ヒトとゾンビの500年。

◎死の報い
ジョージ・A・ロメロとアメリカの悪夢
現在のゾンビ映画の定型を「発明」した不世出の映画監督ジョ ージ・A・ロメロは、アメリカ社会を蝕む資本主義、軍国主義、植民地主義、人種差別、性差別を根源から批判しつつ、それを決して脱け出すことのできない牢獄として描く稀代のペシミストだった。「死のうとも、社会が完全に崩壊しようとも、資本主義の外を想像することができない」現代社会において、絶望の巨匠は、いったい何をゾンビに託したのか。アート映画のSVODプラットホーム〈MUBI〉に掲載された渾身のロメロ/アメリカ論を特別掲載。
文=ブライアン・エーレンプリース
翻訳=若林恵

◎新入社員、『奴隷会計』を読む
ゾンビと資本主義はともにカリブ海のプランテーションにルーツがあるという。その両者をつなぐのは「奴隷制」だ。2022年に刊行されたケイトリン・ローゼンタールの『奴隷会計:支配とマネジメント』は、奴隷制がいかに現代の企業マネジメントの基盤となっているかを明かした注目の書だ。2022年春に大手 日本企業に就職を果たした入社8カ月目の新入社員(匿名)に『奴隷会計』を読んでもらった。奴隷制は過去の遺物なのか? それとも現代企業のなかに巧みに温存されているのか?
インタビュー・文=若林恵

◎Kゾンビは右側通行しない
2016年『新感染 ファイナル・エクスプレス』で世界的な注目を浴び、以後『キングダム』『今、私たちの学校は...』など、ゾンビ映画/ドラマに新たな視点を投げこんだ「Kゾンビ」。それは 旧来のゾンビものとはどこが異なり、何を新たに語りかけているのか。韓国の気鋭の映画評論家カン・ドックによる書き下ろし論考。
文=カン・ドック
翻訳=後藤哲也

◎韓国ゾンビになってみる
ゾンビを知るには、ゾンビになってみるのが一番。ストリートダンサーとともにゾンビの動きを身につけよう(ついでに体幹も鍛えられる?)。

◎バスキアの絵がゾンビにしか見えない
ジャン=ミシェル・バスキアは、投機資本主義の愛玩物として搾取され続けながら、それに絶えず異議を申し立て続ける反逆のヒーローとして、いまなお強力なアイコンであり続けている。バスキアは、終わることのない二項対立のなか、死にもせず生きもせず宙吊りにされる。そのありようはまるでゾンビじゃないか。と思えば、絵に登場するアイコニックな「キャラ」もゾンビに見えてくる。「バスキア=ゾンビ」という無理矢理な仮説に、本誌コンテンツディレクターの若林恵が挑む。
文=若林恵