フェアな関係 / 兼桝綾
フェアな関係 / 兼桝綾
販売価格: 1,870円(税込)
タバブックスより、『フェアな関係』が入荷しました。
地元と東京、仕事とジェンダー、恋愛、セックス、結婚。
この社会にいる女性たちの自我を描く兼桝綾さんの第一小説集です。
『仕事文脈』で発表していた小説が話題、なかでも表題作「フェアな関係」は大きな反響を呼び、書き下ろし続編を加え緊急書籍化。
装画は『バクちゃん』『花四段といっしょ』で人気の増村十七さん。
私は一気に喋った。セックスがしたいこと。セックスはしたいけど子どもがほしくないこと。自分の体調が悪くなるのが嫌だし、仕事の時間が奪われるのも嫌だし、そもそも子どもというものを愛せると思ったことが一度もないし、とにかく全部嫌であること。夫はサンダルの片方を持ったまま呆気にとられていたが、「そんなに嫌なのに、何で、子どもいてもいいかもねって言ったの……」と当たり前の疑問を呟いた。私はもう、今更隠し立てすることもないので、あたりも憚らず叫んだ。
「だから、有紀君に嫌がられないセックスがしたかったからに決まってるじゃん!」(「フェアな関係III」より)
地元と東京、仕事とジェンダー、恋愛、セックス、結婚。
この社会にいる女性たちの自我を描く兼桝綾さんの第一小説集です。
『仕事文脈』で発表していた小説が話題、なかでも表題作「フェアな関係」は大きな反響を呼び、書き下ろし続編を加え緊急書籍化。
装画は『バクちゃん』『花四段といっしょ』で人気の増村十七さん。
私は一気に喋った。セックスがしたいこと。セックスはしたいけど子どもがほしくないこと。自分の体調が悪くなるのが嫌だし、仕事の時間が奪われるのも嫌だし、そもそも子どもというものを愛せると思ったことが一度もないし、とにかく全部嫌であること。夫はサンダルの片方を持ったまま呆気にとられていたが、「そんなに嫌なのに、何で、子どもいてもいいかもねって言ったの……」と当たり前の疑問を呟いた。私はもう、今更隠し立てすることもないので、あたりも憚らず叫んだ。
「だから、有紀君に嫌がられないセックスがしたかったからに決まってるじゃん!」(「フェアな関係III」より)