小さな町 / ソン・ボミ (著), 橋本智保 (翻訳)

小さな町 / ソン・ボミ (著), 橋本智保 (翻訳)

販売価格: 1,980円(税込)

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書肆侃侃房より、韓国女性文学シリーズ『小さな町』が入荷しました。

過去をすべて消しても生きていけるだろうか?
私だけが知らなった、私のもう一つの物語

幼い頃の記憶。火事に見舞われた小さな町で、亡くなった悲しみに犬を飼う人々。死んだ兄。森の中に隠れて暮らす女性。いなくなった父。母の秘密。夫のスクラップブックと、消えた女優。現在と過去が交錯し、思わぬ真実が立ち上がってくる。

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ソン・ボミの作品には「消える」人たち、特に女性たちが多く登場する。
私たちはみな日常の中で、自分の意志とは関係のない、外的な要因によって生活が180度豹変することが多々ある。そうやって日常が崩壊してしまったあとも、依然として人生は続いていく。私たちはどのように生きていけばよいのか。これは訳者としての私の関心事でもあるのだが、『小さな町』はそういう疑問から始まった作品としても読めるのではないだろうか。(略)
「私」はすべての真実が明らかになったとき、過去と向き合うことにした。それはもうこれ以上、「消える」ことを望まないという意味でもある。多くの女性たちが自ら選択したものの前であっけなく崩れていく中で。すべては運命だと受け止めた母は、後悔のない人生を送ったのだろうか。母が、そして消えた女性たちが、本当に守りたかったものは何だろう。「私」はこれからどのような選択をして生きていくのだろうか。 (訳者あとがきより)

<あらすじ>
病床の母から繰り返し聞かされた、幼少期をすごしたあの小さな町の記憶。そこでは火事で多くの人が亡くなり、私の兄もそのとき死んだのだという。ある日、家出してたどり着いた森の中の家には、女性が隠れ住んでいた。それを機に母と親しくしはじめた彼女が起こした騒動をきっかけに、私の家族は壊れてしまう。 最期まで語られなかった母の秘密。記憶をたどる中、父との再会で告げられた思いもよらない真実とは……。