左右社より、『宗教とデザイン』が入荷しました。
それは、「過剰な忖度」と「誤解する美学」である。
世界、布教、祈り、そして神。宗教はこれらをどのように「デザイン」してきたのか?
シンメトリー、カリグラフィー、縦組み書式、楽譜や音符、書籍のサイズや章扉、色、絵画、建築……世界のありとあらゆる表現の原点には「宗教」と「デザイン」があった!
ビジュアルな説得力が不可欠だった宗教が、これまで生み出してきた数々の「デザイン」とその歴史を網羅する類のない一冊。
❖ 世界のデザイン
・天動説、須弥山、方形宇宙……「世界とは何か」を描く多彩なかたち
・「縦書き」のルーツは古代中国の垂直重視観にあり?
・迫害を加速化した「魔女」のビジュアル化
・東洋と西洋の「悪魔」「鬼」のありかたの違い
❖ 布教のデザイン
・粘土板、木簡、パピルス、羊皮紙、そして印刷革命……技術の向上と変遷で変化する布教の方法
・章タイトル、段落、目次、ページ番号、索引……聖書を読みやすくするために生まれた書籍の不可欠な要素たち
・縦を重視するキリスト教から「悪魔の形式」とされた日本の横長宗教建築
・カラヴァッジョの宗教画が描く「手」のドラマと革新的なコントラスト表現
❖ 祈りのデザイン
・イスラム教の偶像崇拝禁止が生んだ華麗なカリグラフィーの数々
・枝で箱を叩き願いが叶うかを問う「可」、大声で神を呼ぶ「歌」……漢字のかたちが宿す、神と人間のドラマの数々
・キリスト教では差別され、アジアでは皇帝が身につける高貴な色だった「黄色」
・ビートルズの『サージェント・ペパーズ』のジャケット・デザインから考察する集合写真のルーツ
古代からつづいてきた宗教の表現は、「人間の考えること」の途方もなさ、すばらしさに満ち溢れている。それはいいかえれば、「人間讃歌」ということでもある。それを少しでも伝えられたら本書の目的は達せられたといえるかもしれない。
(著者「はじめに」より)